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ウクライナ-ロシア情勢整理 歴史的分析

2022/2/24にロシアがウクライナに対し特別軍事作戦の実行を指示しロシア軍がウクライナへ平和維持部隊を展開しました。

丁度コロナウイルス陽性で38度代の熱と頭痛、悪寒に苦しんでいる中のニュースで、病床でスマホで情報を集めては不調により気絶……からのちょっと回復したらまたスマホで情報を集めてを繰り返し25日あたりで大分復調しました。

 

復調したタイミングでこの大きなEVENTの最中リアルタイムで何を考え何をしていたのか残しておきたいなと思ったので書いておきます。

 

何故注視するのか

こういう専門外かつ判断が難しい問題はスルーするのがSNS上ではbetterといえばそうなんですが、個人的な興味と卑近な生活上の事情の2つによります。これらの興味関心にある程度の答えを出すことが目的となります。あとは時間が経てば考えが合ってたか間違ってたか証明してくれるでしょう。

 

1.WW2(太平洋戦争だけど)の歴史を紐解くのが好きでその延長
艦これの影響でWW2の歴史をバリバリ読んでいた時期があり、かつその中でも対露戦は興味深くその熱量の残り火が今回の事件に嫌が応にも注目させるのです。よって過去の戦時分析が現代でも役立つのか身をもって知りたいということです。

 

2.リアルでやってる仕事に影響があるため
自分は某メーカーの予算策定の仕事をしていて、ロシア含め海外取引もあるのでこの動乱の見通しをつけておかないといけないという理由があります。コロナ、半導体供給問題に加えてロシアおよび恐らく中国のPolitical riskも踏まえないといけません。つまり、仕事で使えるレベルの情報収集をしておきたいということです。

 

3.もっと身近な部分で影響があると考えるため

直接ロシアが日本に侵攻というシナリオは考えていませんが、副次的に金融市場への影響やエネルギー関連への影響は確実に発生し、それが物価高となることは想像できます。その規模と影響を対策できるかどうかは別にして理解しておくべきと思っています。家族もおりますし。

 

もっと言えば、ロシア同様の大国かつ常任理事国で共産圏である中国が今回の事件をうけてどういった行動に出るのか不安なので見通しをつけておきたいということもあります。海を隔てているとはいえ、ロシアと中国の共産圏国家と国境を触れさせている日本で生活する以上理解を深めたいと思うのは自然なことのはず。

 

以下、2月末時点での情報と自分の考えのまとめです。

 

 

1:ウクライナーロシア情勢の歴史的分析

ロシア連邦成立に至るまでのウクライナとロシアの関係

まずは大昔の話。

モンゴル帝国崩壊後の今のロシアの礎となる過去の国家について。

現在のようにユーラシア大陸の北部をすべて治めるような広大な領土ではなく、そもそもモンゴル帝国のイメージに近い遊牧民族がその祖先であったとされています。そんな現ロシアの人々が国として歴史に登場し始めるのは東ローマ帝国の時代周辺で、ハザールという国で現クリミア半島周辺に存在していました。西暦650年ごろの話です。

 

ただこの事実はあまり重要では無くて大事なのは次の国家です。名前をルーシと言い、キエフ大公国とも呼ばれます。

キエフは今のウクライナの首都ですね。詳細割愛しますがルーシはキエフにて起こったとされ、周辺の小国家をまとめつつ大きくなった国であり現在のロシア、ウクライナベラルーシ(ルーシからまんま名前取ってますね)の祖となったとされています。

 

ただし、大幅に端折りますが現ロシアの領土は首都はモスクワで、領土としては東ローマ帝国崩壊後のモスクワ帝国が拡大し、ロシア・ツァーリ国キエフを併合してからキエフはロシアの一都市となっていきます。
そこから時代が流れ1918年ロシア革命の過程でウクライナ人民共和国としてウクライナが独立しキエフはその首都となります。

が、結局はソビエトに吸収され、WW2と長い冷戦の果てに再び独立機運が高まりウクライナが独立することで1991年ソビエト連邦は崩壊します。そしてロシア連邦が成立し今に至ります。

 

ロシアが何故ウクライナに侵攻したのかについてですが、ロシアの安全保障上の理由いわゆるNATO加盟国が東に前進するように進んできたということ(後述)の他に、ウクライナキエフ)はソビエトよりもっと前のロシア・ツァーリ国の一部であり統一は悲願であったのではないかと分析しています。

 

後々蛇足的に触れようと思いますが、このかつて自国の領地であった国を統一しようという意図は中国が台湾に対して発する祖国統一という言葉のほうが馴染みやすいかもしれません。

 

冷戦から現在にいたる西側諸国(NATO)との経緯

 

次に随分近代の話。
東西体制についてNATOがロシアに迫る様子を超雑に整理します。

 

冷戦終結ソビエト崩壊など

NATOチェコハンガリーポーランド加盟(1999年)

NATOバルト3国加盟(2004年)

NATOウクライナジョージアが加盟申請。なお現時点でも手続きが進まず加盟は未実現(2008)

 

はい。近づいていますね。東京新聞が上手くまとめてたので転載します。

 

 

バルト三国NATOに入った時点でNATO加盟国とロシアは国境=東西分断線となってしまっています。ベラルーシは完全にロシア側。いうまでもなくウクライナが最大のロシアと欧州との緩衝地帯として横たわっています。ここがNATOに加盟してしまえばロシアはベラルーシを除いて東西分断線とロシア国境がほぼイコールとなります。

それ以上に首都のモスクワが随分近くなり、NATO加盟国の領地内から短距離ミサイル(半径1000km)の射程圏内に入ることになります。この点をあらゆる場でロシアが口にしている安全保障上の懸念であり、NATO加盟を目指すウクライナの政権を親ロシアのものにしたがるモチベ―ションとなっているのだと想定します。

 

1のまとめ

ウクライナ統一はロシア連邦としての歴史的悲願である

ウクライナNATO加入はモスクワがNATO圏の攻撃圏に入るため絶対に阻止しなければならない

 

ウクライナ侵攻の背景をある程度理解した(とおもう)ところで、今後の展開についての分析を進めます。

 

 2:過去のロシア侵略戦争による分析

 

まんまです。

結論から言ってしまいますが冬戦争(および継続戦争)の情勢に酷似していると考えています。なので、今後の展開は基本的に冬戦争をベースに考えています。

ja.wikipedia.org


冬戦争って何?だと思うのですがこれは1939年11月に開戦しWW2の展開、とくにドイツのソビエト侵攻にも大きく影響を与えたと言われるソビエトによるフィンランド侵攻の戦争となります。なおこれが切っ掛けでソビエトは国連を脱退しています。

 

背景と経緯をまとめるとこんなです。

 

独ソ不可侵条約締結を締結し、その際の秘密議定書にて東欧圏の独ソにおける領土分割が約束される。(1938年8月)

バルト三国に対してソ連は圧力を強め(戦闘機や艦艇による領空領海侵犯。わかりやすい武力のちらつかせ)、各国に赤軍の駐在と軍事施設建設を寮人する協定を締結。(1939年10月)

ソ連フィンランドにも同様の赤軍駐在+マンネルヘイム(レニングラード防衛上重要な拠点)とその他工業地域の割譲を求める協定を結ぶよう圧力をかけたがフィンランドはこれを拒否(1938年-1939年)

ソ連フィンランド軍から赤軍への攻撃があったことを口実にフィンランドを非難。これはソ連の自作自演であり、当時もそうみられていた(1939年11月26日)
なお、同年9月にドイツがポーランドに侵攻し各国がドイツに対して宣戦布告(戦闘はしばらく起きていない)、ソビエトポーランドに侵攻している。

ソ連フィンランドに侵攻(1939年11月30日)

ソ連によりフィンランド民主共和国を成立。ソ連としてはこれが唯一正当な政権であるとした(1939年12月1日)


国際社会から非難を浴び、各国はいわゆる経済制裁を実施。フィンランドからの提訴によりソ連が国連を追放(1939年12月14日)

赤軍は前述のマンネルヘイムおよび首都フィンランドを目指し侵攻を続ける。一方フィンランド軍は赤軍の侵攻に耐え多数の損害を赤軍に与え戦闘を長引かせるもマンネルヘイムを奪取される。(1940年2月)

停戦条約(モスクワ講和条約)が締結。フィンランドソ連の希望通りマンネルハイムとバルト海周辺の地域・島のソ連割譲を飲むことになる。(1940年3月12日)

 

ウクライナフィンランドは違いますし、ドイツのポーランド侵攻に続く形でのソ連の侵攻ではなく今回はどこかに続く形式をとらない侵攻ではあります。当然国際情勢も様々異なりますが、2月時点では開戦の経緯とフィンランド軍がロシア相手に持ちこたえ、その間に世論はソビエト批判にまわるという構図は非常に似通っていると思っています。

 

それを踏まえると、侵攻後行われるStepは以下の通りと想定されます。

 

1 主要都市の占領やウクライナ軍の損耗により、ウクライナ政府と有利な交渉が行える状況をつくる

2 停戦協定の締結。ドネツク・ルガンツク両国の承認とゼレンスキー政権の追放

3 親ロシア政権の樹立と独裁下

4 ウクライナNATO非加盟の明示

5 ウクライナのロシアへの併合を”民主的に選択"

 

5はちょっとやりすぎかもしれませんが、4までは意図していると思います。

また、ドネツク・ルガンツク両国はおそらく住民の圧倒的支持のものロシアへの併合を民主的に選択することになるでしょう。

 

ひとまず1から現状の分析を踏まえて整理していきます。

 

ウクライナ侵攻の状況

侵攻開始から4日経ちました(2月28日)が、以前キエフは健在です。

毎度見ている英国軍のレポートを見て見ましょう。

 

 

これもまた冬戦争同様にウクライナ軍がロシア軍の侵攻から防御しており、主要都市はまだ陥落していません。

ハリコフでは民間施設を狙わないというフェーズは終了し、多段ロケット弾による地上無差別攻撃が行われているという情報もでてきています。ハリコフはキエフに次ぐウクライナ第2の都市で、ここを占領されるのは国民感情的にも大きな影響を与えるであろうとことが予想されます。

 

またTweetでは触れていませんがロシアはまだ第2部隊を温存しキエフ侵攻を本格的に進める可能性が高いです。

また核への言及もされています。ウクライナ侵攻当初からロシアが限定的で小規模な核兵器無人地域に打つのではないかといわれていましたが、それが現実になるかもしれません。心苦しいですが。

いずれにしても、戦闘は今も続行中であり、停戦協定を有利なものにするべくまだまだキエフ攻略を念頭に置いた侵攻を引き続き行うと推察されます。

 

親ロシア政権の樹立に向けた活動

ウクライナ東部2州の独立は支持しましたがウクライナそのものに対して今知る限りでは別の政権が擁立されているということは無さそうです。

 

自発的にクーデターが起こることを意図していたとの見方もあります。一部情報では人民放棄を促すビラがまかれたというものもあります。

また、ロシア側の訴えではウクライナのナチ政権によるロシア人虐殺が起きているということなので、どこまで本気かはわからないですがウクライナ人によるクーデターを期待せざるを得ないのだと思います。

 

駐日ロシア大使館ツイッターを見ると本当に別世界ですよ。

 

 

 

 

最も、ウクライナ人の大統領支持率は20%近くだったということですが、侵攻後は積極的に国際社会に訴え、かつ自国軍を鼓舞し今は支持率91%という話もあります。いずれにせよ自発的なクーデターは起こりえないでしょう。

そうなるとロシアにお膳立てされた政権が出てくるほかないと思いますが、今の所そういった動きは無く、ウクライナとの交渉で政権明け渡しを盛り込むのかなというところです。

 

なお、日本時間3月1日午前0時頃からベラルーシ国境で停戦に向けた協議が行われるとのことですが、そこで停戦協定まで結ばれるとは想定していません。ロシアが非常に厳しい条件をウクライナに課すであろうことが推察されるからです。いずれにせよ協議内容が明らかになればロシアの意図がより鮮明になると思います。明日朝に期待。

 

めっちゃ尻切れですけどちょっと書くの疲れましたのでここでいったん切ります。

 

ロシア側の考えるシナリオをある程度整理できたので、今度はしっかり読み解けない経済制裁含む国際社会からの圧力に対するロシアの対応についての考察と実生活への影響、それと中国について分析できればなあと思います。

 

あ、書き忘れていた。これらの分析なりなんなりは完全に素人の妄想ですのでよろしくおねがいします。